会話で覚えよう

氏名/年齢 T・Kさん(女性)/45歳(当時) 職業 主婦
銀行に勤める夫を陰で支えながら、忙しく家事をこなす毎日を送っていたT・Kさん。
そんなある日、洗濯中、腕に物干し竿がぶつかり、みるみるうちに大きなアザができてしまいました。1ヵ月後、アザはようやく消えますが、その頃から小さな異変が起こり始めました。
症状
(1)アザ (2)アザが消えにくい (3)歯茎から出血 (4)倦怠感が続く (5)手のひらが赤くなる (6)蜘蛛のようなアザが出来る (7)幻覚を見る
病名 肝臓ガン

「肝臓ガン」の主な原因は長い間、お酒の飲み過ぎと考えられていましたが、T・Kさんは全くお酒を飲む習慣がありません。では、なぜ彼女の肝臓にガンが?実はT・Kさんの肝臓は、「C型肝炎ウィルス」に感染していたのです。

日本ではアルコールによって肝臓ガンが起きるケースはごくわずか。実に患者の80%以上がC型肝炎ウィルスによって肝臓ガンになっているのです。

T・Kさんが ウィルスに感染した原因は、40年前の出来事にありました。交通事故で大けがをした彼女は、病院で輸血を受けましたが、その輸血用の血液がC型肝炎ウィルスに冒されていたのです。実はC型肝炎ウィルスが発見されたのは、1989年のこと。それまでは輸血用の血液に対する検査も行われておらず、T・Kさんのように知らずに感染してしまった人が大勢いるのです。

*C型肝炎ウイルスの感染経路は、輸血母子感染

そうして幼いT・Kさんに感染したC型肝炎ウィルスは、肝臓に忍び込み、ゆっくりと増殖を開始。肝臓の細胞は破壊され炎症を起こし、T・Kさんは肝炎を患いました。そして、それから40年かけてゆっくりと蝕まれていったのです。やがて、壊れた細胞は、細かい繊維状になり、肝臓の機能は大きく低下してしまいます。しかし、この病気の最も恐ろしいところは、痛みなどわかりやすい症状が出ないこと。だからこそ、T・Kさんは自分の肝臓の異変に気づかず、長年放っておいてしまったのです。あの消えにくいアザと歯茎からの出血は、肝炎により肝機能が低下していたため、血液凝固因子がほとんど作られておらず、内出血が起きても、なかなか血を固めることができなかったため。さらに肝機能の低下は倦怠感をひき起こします。それでも3年に渡って体の不調を放っておいたT・Kさん。肝炎はついに肝硬変へと進行。肝臓はこぶだらけになっていました。

*肝臓には、血液凝固因子を作る役割もあります。(肝臓の役割を再確認)

その結果、現れたのが、あの手のひらが赤く染まる症状(手掌紅班)と、首に浮き出た蜘蛛のような血管(くも状血管腫)。これらは肝硬変により肝臓の血管が極端に狭くなり、血液が肝臓に入る手前で逆流。行き場を失った血液が周りの細い静脈に流れ込み、全身の血液の流れが混乱した結果でした。そして突然襲った幻覚症状。それは肝臓がほとんど機能停止状態となり、解毒しきれなかった毒素が脳へ達し、脳の中枢神経が麻痺。時間と場所の感覚を失い、陥った結果でした(肝性脳症)。この時、T・Kさんの肝硬変はすでにガンへと姿を変えていましたが、幸いガンがまだ初期段階であったため手術が成功。その後の経過もよく、一命を取り留めることができました。

* 症状・治療法は理由を考えながら覚えよう

*C型肝炎ウイルスは、自覚症状に乏しいが慢性化しやすく、肝硬変・肝がんに移行することがある。

*C型肝炎ウイルスに感染→肝炎→肝硬変→肝ガンとつなげて学ぶことで理解が深まります

 

単語帳で覚えよう(肝臓について)

単語帳表(問題) 単語帳裏(答え)
(       )%以上がC型肝炎ウィルスによって肝臓ガンになっている 80
C型肝炎ウイルスの感染経路は、(       )や(              ) 輸血、母子感染
C型肝炎ウイルスは、自覚症状に乏しいが(          )しやすく、肝硬変・肝がんに移行することがある。 慢性化

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